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西洋医学と不妊治療

不妊症とは

正常な夫婦生活があって、避妊をせずに2年(※)経っても妊娠しない場合をいいます。 (※35歳以上1年。)
2000年頃には10組に1人が不妊に悩んでいると言われていましたが、最近では7〜8組に1人が不妊に悩んでいるようです。
このように不妊に悩む人が増えている背景としては、女性の社会進出が普通になったことによっての結婚年齢と出産年齢の上昇が1番の原因のようです。
この年齢の上昇が「卵子の老化」という事実を知らない、教育を受けてこなかったということも不妊の増加を加速させる要因となっているようです。

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不妊治療について

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不妊症の本質的な原因

「ピックアップ障害」「受精障害」「着床障害」「卵の質」の4つ。

  • 「ピックアップ障害」...排卵した卵子をうまく卵管内に取り込めない状態
    考えられる状態→チョコレート嚢胞を含む、子宮内膜症や卵巣腫瘍、クラミジア感染症
  • 「受精障害」...精子が十分にいるにもかかわらずこの受精が起こらないことをいいます。
    考えられる状態→卵子に問題がある場合、精子に問題がある場合、両方に問題がある場合
  • 「着床障害」...考えられる状態→子宮内膜症以外の子宮の疾患、子宮筋腫や子宮腺筋症。
女性の原因 男性の原因
・子宮内膜症
・卵巣囊腫・チョコレート嚢胞
・子宮腺筋症 ・感染症
・子宮筋腫
・排卵障害
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
・高プロラクチン血症 ・黄体化未破裂卵胞
・卵管通過障害
・着床障害
・子宮勁管粘液異常
・原因不明(機能性不妊)
・精子の異常
・精索静脈瘤
・精子の通過障害
・性交と射精の障害

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女性の原因

子宮内膜症

子宮内膜に似た組織が、子宮腔内面以外の組織や臓器などに存在して増殖するために生じる病態をいいます。子宮内にできる内性子宮内膜症(子宮腺筋腫)と、子宮以外の骨盤内にできる骨盤内子宮内膜症などの外性子宮内膜症に分けられます。

[不妊治療]
  • チョコレート嚢胞があれば、卵巣・卵管周囲に癒着があり、ピックアップ障害が疑われる。
  • チョコレート嚢胞を手術すれば、卵巣予備能が低くなる。
  • 手術してもすぐに再発したり新たにできたりして、根治しないことが多い。
  • 薬物療法で妊娠率は改善されず、時間が遅れるだけ。
  • 手術でチョコレート嚢胞を吸引した後は、卵巣予備能の値も下がるために体外受精が推奨される。
  • 妊娠して出産することが、子宮内膜症の最大の治療。
  • 自然妊娠にこだわるのであれば、2人目からが良い。1人目出産時に癒着も剥がれ、自然妊娠しやすくなる。出産が1番の治療法。
卵巣囊腫・チョコレート嚢胞

骨盤内子宮内膜症のうち、卵巣にできたものを卵巣囊腫と呼び、卵巣膿腫に出血が起きて血液が溜まったものをチョコレート膿腫と呼びます。
いずれも、月経痛などを生じさせる上、卵巣内の血流が減少したり、周囲の組織と癒着したり、炎症を起こしたりすることで、卵胞の発育不良やピックアップ障害につながります。

[不妊治療]
  • 単純嚢胞の多くは良性で、破裂しなかった卵胞の名残。自然消滅を待つか注射針などで吸引。
  • 悪性腫瘍の疑いがある場合は手術を。
  • 類皮嚢胞は手術が必要だが、小さければ様子をみる。穿刺吸引は不可。
  • チョコレート嚢胞は、吸引してから体外受精を。
子宮腺筋症

子宮大部に発生した子宮内膜症で、内性子宮内膜症と言われます。しばしば、子宮筋腫や内膜増殖性病変を合併します。子宮全体がびまん性に膨大していて、病変と正常筋腫との境界は不鮮明。組織学的には筋層内に内膜組織が発見されます。
病状は月経困難、下腹部痛などで、不妊につながります。治療にはホルモン療法(偽妊娠療法、偽閉経療法)、手術、あるいは両方を併用します。

[不妊治療]
  • 高齢になると高い確率で発症する。
  • 妊娠しても流産が多い。
  • 手術が難しい。
  • 手術後に妊娠すると高い確率で子宮破裂に。
  • 現在はっきりしている不妊の原因の中で一番難しい症例。
感染症

クラミジア感染症
クラミジア感染症は、もっとも一般的な性感染症。女性の場合はまず子宮頚管に感染し炎症を起こすことが多い。自覚症状があまりないために感染に気づかないことも少なくないようです。

[不妊治療]
  • 放っておくと炎症によって卵管の癒着や閉塞が起こり、ピックアップ障害につながる。
  • 抗生物質の服用で治療できる。

骨盤内炎症
骨盤内炎症とは、膣から侵入した最近が原因で、子宮頸部、子宮、卵管、卵巣などに炎症が起こる細菌の総称。原因菌には淋菌やクラミジアートラコマチス菌などがあります。

[不妊治療]
  • それぞれの原因菌に効果のある抗生物質を服用、あるいは点滴投与することで治療できる。
  • 卵管癒着などが起きて治癒が難しい場合は、体外受精を選択したほうがいい。
子宮筋腫

子宮の筋組織から発生する、良性の腫瘍。発生原因は不明で、子宮の体部や頸部、膣部にそれぞれ発症する体部筋腫が90パーセント以上を占める。30~40歳代までの女性に多い。

【不妊治療】
  • 場所にかかわらず、血流などに悪影響を及ぼす。
  • 子宮内膜を圧迫したり変形させたりする場合は、手術をするべき。
  • 場所に関わらず、4~5センチ以上なら取ったほうがよい。
  • 20代では少ないが、40代では2~3人に1人の割合で筋腫がある。
  • 手術が一般的だが筋腫だらけでも妊娠するケースもある。
排卵障害(女性の不妊原因の約10パーセント)

卵胞が発育しないか、発育しても卵巣から飛び出せない(排卵できない)状態です。無月経や稀発月経(生理がたまにしかこない)などの月経異常がある場合、基礎体温が2相性にならない(低温と高温に分かれない)とき、卵胞が発育していないことが考えられます。
視床下部や下垂体の異常でFSH、LHの分泌が不十分な場合、卵胞がうまく発育してきません。 短期間でのダイエットやストレスが原因になることもあります。

【不妊治療】
  • 排卵がスムーズに起こらない、全く起こらない人は排卵誘発をする。
  • 薬物療法+タイミング療法が中心。
  • 多胎妊娠の可能性あり。
  • 妊娠成功率は高い。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)(特殊な排卵障害)
卵巣表面が固く、卵巣に多数の小さな卵胞が存在しますが、卵胞が発育しません。ホルモン異常を伴い、無月経や月経不順となります。最近インスリン抵抗性耐糖能異常との関連が言われております。
高プロラクチン血症
プロラクチンは脳の下垂体から分泌され、産後に母乳を出させるホルモンです。
産後授乳期間にはこのホルモンが高いため、排卵が抑制され月経がありません。
妊娠、出産と関係ない時期にこのホルモンが高いと高プロラクチン血症といわれ、排卵が抑制され、月経異常を起こします。乳汁分泌が認められることもあります。
黄体化未破裂卵胞
一般には基礎体温が、高温相となれば排卵があったと考えられておりますが、この黄体化未破裂卵胞とは、基礎体温やホルモン値からは排卵があった(高温相になった)ように見えても実際は、卵巣に卵子ができるものの、卵巣から飛び出せない(排卵できない、未破裂)状態をいいます。
超音波検査で判断します。子宮内膜症やクラミジア感染などによる卵巣周囲の癒着や、排卵を促すLHの分泌不足などが原因と考えられます。
卵管通過障害(卵管がつまったり細くなっている 女性の不妊原因の約30%)
卵管は精子と卵子が出会い受精する場所であり、受精卵が子宮に送り込まれる通り道でもあります。
卵管がつまったり、細くなっていると、精子と卵子が出会えません。原因として子宮筋腫が卵管を圧迫していたり、子宮内膜症やクラミジア感染などによる癒着や炎症が考えられます。
着床障害(子宮の状態が良くない)

受精卵が子宮にくっつく(着床)のに、子宮の状態が良くないと着床が妨げられます。
子宮筋腫や子宮腺筋症(子宮内膜症が子宮の筋層内にできる)により、子宮の中を変形させる病変があったり、子宮の中にポリープが出来る場合が考えられます。
また、子宮への血流やホルモンが不足していたり、子宮の中の炎症などにより、着床時期の子宮内膜が薄いと着床しにくくなります。

【不妊治療】
  • 着床のメカニズムそのものがまだ十分に解明されていないため、決め手となる治療がないのが現状。
子宮勁管粘液異常(精子が子宮頚管を通過できない)
排卵の時期になると、子宮の入り口である子宮頸管はエストロゲンの作用により頸管粘液の量を増やし、性状もサラサラとなり精子が通りやすくなります。
この粘液が十分に出ないと、精子が子宮内にたどり着けません。
また頸管粘液の中に抗精子抗体が存在すると、精子を攻撃し、精子が頸管を通過するのを妨げたり、さらに受精や着床も妨害するといわれています。
原因不明(機能性不妊)
どの検査でも原因がつかめない。

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男性の原因

精子の異常(精子をつくることができにくい)
造精機能障害といわれ、精巣で精子をつくることができにくく、男性不妊の原因の70-90%を占めるといわれている。
精索静脈瘤
陰嚢(左に多い)に怒脹した血管が、ツタがからまる様にとりまいた状態で、精巣の温度を上昇させ造精機能が低下します。
精子の通過障害
精子はうまく造られても、精子の通り道がつまったり、細くなっていて、精子が運ばれない状態です。
先天的なものや炎症などが原因と考えられます。
また、子供の頃のソケイヘルニアの手術が原因となる場合があります。
性交と射精の障害
勃起できなかったり(インポテンツ)、勃起はできても膣内で射精ができない場合があります。また、射精のときに、精液が膣内に出ず、膀胱に逆流してしまう逆行性射精という病気もあります。
射精した感覚があるのに、精液の量が少ないか、全くない場合はこの病気が疑われます。

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不妊治療の基本検査

基礎体温
基礎体温を見て排卵日を正確に知ることは困難です。しかし、排卵の有無や黄体機能の把握に役立ちます。
超音波検査
超音波検査は超音波を利用して子宮や卵巣の様子をモニターに映し出して確認する検査です。経膣超音波検査と経腹超音波連鎖の2種類があります。この検査により、卵巣に関しては卵巣囊腫の有無や卵胞の成熟状態、子宮に関しては子宮筋腫の有無や子宮の形態の確認、排卵前後の子宮内膜の状況などを把握します。
ホルモン検査
血中のエストロゲンや、黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、プロゲステロンなどを測定します、排卵の時期を確定するうえで重要な検査です。
精液検査
採精後、精液中の精子の濃度や運動率を検査します。
精巣検査
精液検査で異常があった場合は、泌尿器科にて精巣検査を行います。精巣の視診、触診、超音波検査のほか、必要であれば、造影検査や組織検査も行います。
ヒューナーテスト
検査当日や前日に性交をし、膣内の粘液や頸管粘液、子宮内液を採取します。それぞれに精子が到達しているか、きちんと運動しているかを確認します。精液検査では、運動精子が多くみられても、女性の胎内に入ってから動かなくなる場合があります。
子宮卵管造影検査
卵管のつまりがないかを確認する検査です。子宮内に造影剤を注入してレントゲン又は超音波診断で卵管の閉塞を調べます。また子宮も奇形や筋腫・ポリープなどで受精卵が着床しにくいこともあります。あわせてレントゲンや超音波で検査します。
子宮鏡検査
子宮鏡検査とは、子宮に直径3~4mmの内視鏡を挿入して子宮腔内を調べる検査です。静脈麻酔で麻酔下に行われ、10~15分程度で終わります。この検査では、子宮粘膜筋腫や子宮内ポリープなどを観察することができます。また、観察しながらポリープなどを除去することも可能です。
腹腔鏡検査
腔鏡検査とは、おなかに5mm程度の小さな穴をあけて、内視鏡を挿入しておなかの中を直接観察する検査です。不妊症の中で最も多く認められる原因が、子宮卵管の外側の癒着によるものです。子宮内膜症の症状や開腹手術の既往がなくても、5~6回人工授精をされても成功しない方の半数以上の方には卵管の外側に癒着があると考えられますので、早期の腹腔鏡検査をおすすめしております。
クラミジア検査
クラミジアに感染すると、子宮や卵管が炎症を起こし、卵管閉塞や周囲への癒着が生じやすくなります。陽性の場合は、症状がなくても夫婦同時治療が必要です。

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西洋医学的な治療

タイミング法

排卵のタイミングに合わせて性交渉を行い、自然妊娠の受精・着床の確立を高めると いうものです。
タイミングを合わせることから、タイミング療法と言われるんですね!

どういった方法かを簡単に言いますと、

  1. 「ピック排卵予定日を予測
  2. その排卵予定日に男性がタイミングを合わせる
1.排卵日の予測

排卵日の予測方法として
a:基礎体温法、b:頸管粘液法、c:LH検査法などがあります。

a:基礎体温法

基礎体温を記録することで排卵の周期や月経の周期のパターンを読み取って排卵日を予測する方法です。
基礎体温は、月経周期では低体温を示し、排卵が起こった日を挟んで高温期に移行します。そのため、高温期に入る直前、低体温の中でもさらに体温が下がった日を排卵日と予測します。 ただ、排卵が起こる時間ははっきりとは分からないのです。そのため、基礎体温法によるタイミング療法では、排卵予定日の前日に性交渉を行うようにします。

b:頸管粘液法

おりものや粘液の状態で排卵日を予測する方法です。
排卵日直前になると、子宮頸管内は粘液の分泌量が増え、膣口付近にも降りてくるため、 おりものや粘液の状態が変化します。

月経周期4~5日目には、粘液の粘度・分泌量ともに少なく、この状態が3~4日続きます。
その後、頸管粘液の分泌量が増えていき、膣口付近も閉まった状態になります。
この状態がまた3~4日続いた後、透明で卵白状のおりものの量が増え、最も粘液が多くなった次の日に排卵が起こると予測します。

c:LH検査法

尿検査により月経周期をできる限り正確に把握することで、受精可能な期間を特定しておく方法です。オギノ式とも言われています。
正常な排卵は、月経開始日の14日前に起こると言われています。
しかし、月経周期は人によって異なります。
そのため、尿検査でLH濃度(黄体形成ホルモン)を測定することで読み取り、排卵が起こるタイミングを予測します。
このLH検査を行うための尿検査キットは通販等でも販売されていてご自身でも行うことができます。

そして、排卵日を予測したら、その排卵日に合わせて2.男性がタイミングを合わせるのです。そもそもタイミングを合わせるとは、どういうことかといいますと。。。
もちろんその排卵日に合わせて性交渉を行う、ということではあるんですが、それだけではないんです。

男性は何日も続けて射精すると、精子の数が減ってしまい受精率が低くなってしまいます。
3~5日間射精を行わなければ正常な状態に戻るので、排卵予定日の3~5日は禁欲し、精子の状態を整えます。
しかし、逆に長期間禁欲していても精子の質が落ちてしまうので、排卵日とは関係なく、3~5日間隔で性交渉を行っている方が妊娠の確立は上がるというデータもあります。

このように、不妊治療は夫婦が力を合わせることが不可欠なんです。

また、タイミング療法の特徴として、

  1. 排卵日を特定するのが難しい
  2. 排卵治療を取り入れることもある

ということがあります。

1.排卵日の特定が難しい

生理の周期が安定していて予定日からずれることがほとんどないという人の場合は排卵日を予測しやすいのですが、卵巣の状態や卵胞の育成環境によって、卵子が成熟するまでに数日の誤差が出てしまうこともあります。
そのため、できるだけ正確に排卵日を特定するためには、基礎体温を長期間記録しておき、病院で超音波検査や血液検査を受けることをお勧めします。

2.排卵治療を取り入れることもある

基礎体温が高温期・低温期と2分化していても、正常な卵子が排卵されていなかったり不定期にしか排卵が起こっていない場合があります。
そのため、より効果を高めるために、排卵誘発剤の投薬や服用が並行して取り入れられることもあります。
使われるのは、クロミフェンやゴナドトロピンという排卵誘発剤で、狙った日に排卵が起こるように調整します。
排卵誘発剤が使われるのは、基礎体温によるタイミング療法を一定期間行っても妊娠しない場合や高齢であまり時間をかけることのできない場合も含まれます。
タイミング療法は、自然妊娠の確立を上げるために医学的な観点から排卵日の予測の精度を上げ、指導を行う、というものなので、不妊治療の初めの段階で取り入れられる方法です。
一般的な不妊検査で特に異常が見られない場合や、結婚後間もない夫婦に適応されることが多い方法となります!


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